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法人の決算・税務申告について教えてください。

法人で確定申告をしなければいけない税金には、法人税、法人住民税(都道府県税・市町村税)、法人事業税、消費税があります。法人の税務手続としては、そのほかに、源泉徴収や固定資産税などがあります。

 

法人の確定申告は、原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告する必要があります。なお、法人税、法人住民税、法人事業税は、一定の場合に申請による申告期限の延長が可能ですが、消費税については、申告期限の延長ができない点に注意が必要です。

 

また、中小企業など小規模な事業者には、法人税においては軽減税率や交際費の損金算入などの中小企業優遇税制、消費税においては免税事業者制度、簡易課税制度など、税制面での優遇措置が多数用意されていますので、これらの制度を有効活用していくことが重要です。

 

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【目次】税務申告手続の流れ

 

1.法人の主な税務申告

 

2.法人の確定申告の一連の流れ

 

3.中小事業者の主な特例

 

4.経理のための『ワンポイントアドバイス』

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主な税務申告
 (1) 法人の主な税務申告
提出先 内容 期限
法人税 法人の所得に対して課される税金です。各事業年度の収益から、費用と損失を控除して算出される企業会計上の利益に法人税法上の調整を加えて所得が算出されます。その所得の金額に税率を乗じた金額が納付税額となります。 決算月から2か月以内に申告(税務署)
法人住民税 地域社会の費用について、その一員である法人にも個人と同様幅広く負担を求めるために課される税です。資本などの金額と従業者数に応じて定額で課される均等割と、原則的に法人税額を課税標準として課される法人税割によって構成されています。 決算月から2か月以内に申告(東京23区は都税事務所、それ以外は都道府県税事務所及び市町村役場)
法人事業税 法人が行う事業そのものに課される税です。法人所得の金額に税率を乗じた金額が納付税額になります。 決算月から2か月以内に申告(東京23区は都税事務所、それ以外は都道府県税事務所)
消費税 ほぼすべての取引に対して課される税金です。会社設立後、最初の2年間は免税事業者となり、支払う必要はありません。資本金額が1,000万以上又は前々年の売上が1,000万以上となった場合に納税義務が発生します。 決算月から2か月以内に申告(税務署)
源泉徴収事務 法人は、「源泉徴収義務者」として、従業員の給料から所得税・住民税を差引いて、「徴収した月の翌月の10日」までに納付することとなっています。また年末には年末調整をして清算を行います。 徴収月の翌月の10日に支払(納期の特例の適用ある場合は、7月10日と1月20日)(税務署)
固定資産税 固定資産税とは、賦課期日(1月1日)現在の固定資産(土地、家屋、償却資産)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額を、その固定資産が所在する東京都又は市町村が課税する税金です。 毎年1月1日現在所有している償却資産の内容を、1月末日までに申告(都税事務所又は市町村役場)

 

 (2) 法人の確定申告の一連の流れ

○決算手続

① 実地棚卸/残高確認
決算に先立って、決算期末における現金・棚卸資産等の現物資産の実際有高を点検・計量により確認し、決算期末の帳簿残高を確定します。

② 帳簿締切/仮試算表作成
決算整理に関わるもの以外のすべての伝票を確定し、帳簿を締切り、決算整理前の仮試算表を作成します。

③ 決算整理仕訳
決算整理前試算表に、減価償却費や引当金、共通費配賦、仮勘定整理、経過計算、長短債権債務整理といった決算整理処理を行います。

④ 決算書作成
決算整理後の試算表をもとに、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書を作成します。

 

○ 税務申告手続

① 消費税の確定申告
決算確定後、課税区分別の消費税額計算表をもとに、消費税の確定申告書を作成します。
作成した消費税の確定申告書は、課税期間の終了の日の翌日から2か月以内に所轄税務署に提出します。

② 法人税の確定申告
確定した決算をもとに、税務上の調整項目を加減して、法人税の確定申告書を作成します。
原則として、作成した法人税の確定申告書は、課税期間の終了の日の翌日から2か月以内に所轄税務署に提出します。

③ 法人二税(住民税・事業税)の確定申告
法人税の確定申告書で計算した法人税額をもとに、法人都道府県税用と法人市民税用の2つの申告書をそれぞれ作成します。
原則として、作成した確定申告書は、課税期間の終了の日の翌日から2か月以内に、各都道府県税事務所及び各市区町村に提出します。

 

 (3) 中小事業者の主な特例
税目 項目 適用条件 内容
法人税

中小企業税制

資本金1億円以下の中小法人

軽減税率の適用

留保金課税の停止

交際費の損金算入

貸倒引当金の特例

少額減価償却資産の損金算入の特例

中小企業投資促進税制

雇用促進税制

欠損金等の控除限度額の縮減

…など

消費税 納税の免除

次の二つのいずれもみたす事業者

(1) 課税期間に係る基準期間の課税売上高が1千万円以下

(2) 特定期間の課税売上高(給与等支払額)が1千万円以下

なお、資本金1千万以上の法人を除く

消費税の申告納税義務を免除されます。

簡易課税制度

次の二つのいずれもみたす事業者

(1) 課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5千万円以下

(2) 簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している

課税仕入れ等に係る消費税額を、みなし仕入れ率を使って簡易的に算定することができます。
源泉徴収事務 源泉徴収免除

個人事業のうち次の二つのいずれかに当てはまる、

(1) 常時二人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている

(2) 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている

源泉徴収義務が免除され、源泉徴収をする必要はありません。
納期特例制度

次の二つのいずれもみたす
(1) 給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者

(2)「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄税務署に提出

この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月20日が、それぞれ納付期限になります。

 

 

 

経理のための『ワンポイントアドバイス』

法人の確定申告では、法人税と消費税の申告に加え、法人住民税や法人事業税の申告など、対象となる税目が多くなるため、確定申告の手続は煩雑であるほか、法人税の申告には、財務諸表や科目内訳書、各種別表など少なくとも20枚以上の帳票の提出が必要になるなど、税務申告のボリュームが大きいのも特徴になります。

 

また、法人の確定申告は、原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告する必要があります。
期限内に申告をしないと、無申告加算税や延滞税など、多くのペナルティがあるので、忘れずに申告することが重要です。

 

なお、中小企業には、法人税の中小企業税制や消費税の簡易課税制度など、税務上の優遇制度が多く用意されています。自社において利用可能な優遇制度を上手に活用していくことが大切です。

 

また、このような煩雑な税務申告を効率よく済ませ、また、税務上のメリットを十分享受できるように、専門家である税理士とよく相談していくことが、業務をスムーズに進めるための重要なポイントとなります。

 

次は連結決算の流れについての解説を見る

 

 

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