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マイナンバー業務と法定調書

法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「国外送金等調書法」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料です。法定調書は、平成27年3月時点で59種ありますが、一般の事業会社で必要になる代表的なものは、給与・退職所得の源泉徴収票や報酬・料金等の支払調書、不動産の使用料等の支払調書などになります。

 

法定調書の提出が必要な支出項目は、細かく分類列挙されており、判断が難しいものが多々あるほか、対象となる支出をすべて網羅するのは管理が煩雑となりがちであるため、提出漏れがないように注意が必要です。

 

※ 本記事は2015年10月の制度開始時点における法令・制度内容に基づき作成しております。
2015年10月以降の改正事項は反映しておりませんので、最新の制度内容については、各省庁が公表する案内資料などをご確認いただきますようお願い申し上げます。

 

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【記事目次】マイナンバー業務と法定調書提出

 

1.法定調書の提出手続

 

2.法定調書の提出範囲

 

3.個人番号の記載が必要になる書類

 

4.法定調書提出手続の流れ

 

5.マイナンバー対応のワンポイントアドバイス

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マイナンバー業務の基礎解説
 (1) 法定調書の提出手続

≪ 給与所得等の法定調書 ≫

1.源泉徴収票・支払調書の作成
賃金台帳や、支払台帳、請求書、領収書等の支払記録などをもとに、給与所得や退職所得の源泉徴収票、報酬・料金等、不動産の使用料・譲受対価・斡旋料の支払調書を作成します。 また、給与所得や退職所得の受給者に源泉徴収票を交付します。

2.源泉徴収票・支払調書の提出(税務署)
税務署に、給与所得や退職所得の源泉徴収票、報酬・料金等の支払調書などの法定調書を提出します。(翌年1月末日)

3.給与支払報告書等の提出(市区町村)
各市区町村に、給与所得にかかる給与支払報告書を提出します。(翌年1月末日)
法人役員に退職金を支払う場合には、退職所得の特別徴収票の提出も必要になります。(退職後1月以内)

 

 

≪ その他の法定調書 ≫

1.各種調書・支払調書の作成
支払台帳などの記録をもとに、配当・剰余金の分配等の支払調書や株式等の譲渡の対価等の支払調書など、支払内容に応じた各種の調書・支払調書を作成します。

2.支払調書等の提出(税務署)
税務署に、 所定の期日までに作成した各種調書・支払調書を提出します。

 

 

 (2) 主な法定調書の提出範囲

税務署や市区町村への提出が必要になる法定調書等の要件をまとめると以下のとおりです。

(※ 法定調書は、平成27年3月時点で59種ありますが、業種等により提出が必要になるものは異なります。一般の事業会社で使われる代表的なものは以下のものになります。)

 

≪ 給与所得等の法定調書 ≫

提出書類
支払内容
税務署
市区町村
給与所得の
源泉徴収票

年末調整をしたもの

法人の役員(取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人、相談役、顧問等である方)期中退職者含む

年150万超

すべて
弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、海事代理士、建築士等 年250万超
それ以外の方 年500万超

年末調整をしなかったもの

「扶養控除等申告書」の提出あり

期中退職者

災害による猶予・還付対象者

年250万超
役員50万超
年30万超
年2000万超の支払い すべて すべて
「扶養控除等申告書」の提出なし (乙欄、丙欄適用者) 期中退職者 年50万超 年30万超
それ以外の方 すべて
退職所得の
源泉徴収票
退職手当金、退職一時金等の支払 法人の役員等 すべて すべて
それ以外の方

報酬・料金等
の支払調書
外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサーの報酬、料金 年50万超

バー、キャバレー等のホステス、バンケットホステス、コンパニオン等の報酬、料金
広告宣伝のための賞金
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬(国立病院、公立病院、その他の公共法人等に支払うものを除く)
馬主が受ける競馬の賞金 年75万超
プロ野球の選手などが受ける報酬及び契約金 年5万超
その他の報酬・料金
不動産使用料
の支払調書
不動産の使用料等の支払(法人に対する支払を除く(権利金・更新料以外) 年15万超
不動産譲受対価 の支払調書 不動産等の譲受けの対価等の支払 年100万超
不動産斡旋料
の支払調書
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払 年15万超

 

≪ その他の法定調書 ≫ 

※ その他の一般の事業会社で使われる事の多い法定調書を例示しています。

提出書類
支払内容
税務署
提出期日
公的年金等
の源泉徴収票
公的年金、企業年金、個人年金等の支払 「扶養控除等申告書」提出あり 年60万超 翌年1月末日
「扶養控除等申告書」提出なし 年30万超
新株予約権の
行使に関する調書
新株予約権の行使の内容 すべて 翌年1月末日
株式の無償割当
に関する調書
株式の無償割当の内容 すべて 翌年1月末日

退職手当金等

支払調書

死亡により退職した者への退職手当金等の支払 1回100万超 支払確定日
の翌月15日

配当・剰余金分配等

の支払調書

剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は基金利息の支払 1回3万超
(短期1.5万超)
支払確定日
より1月以内
みなし配当
の支払調書
剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配とみなされる支払
(自己株式取得、減資、合併等によるみなし配当)
1回3万超
(短期1.5万超)
支払確定日
より1月以内

株式等の譲渡対価等

の支払調書

株式等の譲渡の対価、償還金等の支払 年100万超 翌年1月末日
交付金銭等
の支払調書
合併、株式交換等による交付金銭等の支払 1件30万超 翌年1月末日

 

 (3) 個人番号の記載が必要になる書類

法定調書の提出に必要な書類で、個人番号の記載が追加されるものは以下のとおりです。

 

≪ 給与所得等の法定調書 ≫

提出書類
個人番号
新様式
税務署
に提出
市区町村
に提出
本人交付
が必要

給与所得の源泉徴収票(税務署)

給与支払報告書(市区町村)

受給者

配偶者

扶養親族

H28.1~
の支払分

退職所得の源泉徴収票(税務署)

退職所得の特別徴収票(市区町村)

受給者

報酬・料金等の支払調書 受給者

不動産使用料の支払調書

受給者

斡旋者

不動産譲受対価の支払調書

受給者

斡旋者

不動産斡旋料の支払調書 受給者

 

≪ その他の法定調書 ≫ 

※ その他の一般の事業会社で使われる事の多い法定調書を例示しています。

提出書類
個人番号
新様式
税務署
に提出
本人交付
が必要
公的年金等の源泉徴収票

受給者

配偶者

扶養親族

H28.1~
支払分

新株予約権の行使に関する調書 受給者

株式の無償割当に関する調書 受給者

退職手当金等支払調書

受給者

退職者

本人交付
が必要

配当・剰余金分配等の支払調書

受給者 H28.1~
支払分
(3年猶予)

みなし配当の支払調書

受給者

株式等の譲渡対価等の支払調書

受給者

交付金銭等の支払調書 受給者

 

 

 (4) 法定調書の提出手続の流れ

法定調書提出に関わる手続の流れをフローにあらわすと以下のとおりです。

(※ こちらは、帳票の流れに着目して作成した簡易的なフローチャートです。業務の分析やマニュアル作成の際は、担当、部署、手順、帳票、承認経路などを盛り込んだ詳細なフローチャートが必要になります。)

 

 

 

 

マイナンバー対応に役立つ『ワンポイントアドバイス』

法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「国外送金等調書法」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料です。法定調書は、平成27年3月時点で59種ありますが、一般の事業会社に必要になる代表的なものは、給与所得・退職所得の源泉徴収票や報酬・料金等の支払調書、不動産の使用料等の支払調書などになります。

 

法定調書の提出が必要な支出項目は、細かく分類列挙されており、判断が難しいものが多々あるほか、対象となる支出をすべて網羅するのは管理が煩雑になりがちであるため、提出漏れがないように注意が必要です。

 

平成28年1月以降、マイナンバー制度の導入後は、税務署に提出する給与所得・退職所得の源泉徴収票や報酬・料金等の支払調書などの法定調書や、市区町村に提出する給与支払報告書や特別徴収票に、個人番号の記載が求められるようになります。

 

法定調書は、システム化が遅れている分野です。特に、一般事業会社では、手作業で集計・作成していることも多々あるため、人的なミスや紙資料の管理など、検討すべき課題が多くなることが予想されます。また、個人番号の収集の対象となる方が多岐にわたり、イレギュラーな対応になりやすいため、マイナンバー導入後の手順についてよくシミュレーションしていただくことが必要と考えられます。

 

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